SU-152重突撃砲は、KV重戦車の車体を使用して戦車駆逐車を製作しようとする計画に基づき、1942年末より開発に着手された重自走砲である。
開発にあたったのは、当時チェリャビンスクに疎開していたキーロフ工場第2特別設計局（SKB-2）のZh.Ya.コーチン技師らである。

本自走砲はKV重戦車の車体上部に密閉式の固定戦闘室を設け、28.8口径152mm加農榴弾砲ML-20Sを限定旋回式に搭載したもので、わずか25日間で設計されたという話が伝えられている。
試作車の完成日時は不明だが1943年2月には試験が完了し、2月14日に「SU-152重自走砲」として制式採用を決定、同年5月には戦線に投入されるというスピード開発だった。

当初「KV-14」の開発番号が与えられていた本自走砲の開発がこれほど急がれたのは、1942年末に姿を現したドイツ軍のティーガーＩ重戦車に対抗するためである。
なお本自走砲と共に、25口径203mm榴弾砲B-4を同じKV重戦車のシャシーに搭載するKV-12重突撃砲も計画されたが、あまりにも巨大な同砲を搭載することは無理と見られ計画は中断されている。
SU-152重突撃砲のベース車体となったのは、KV-1S重戦車である。

KV重戦車をベースとした152mm榴弾砲搭載の砲戦車は砲塔型のKV-2重戦車もあり、SU-152重突撃砲は2種めだが、車体に直接組み上げた簡易な固定戦闘室は内部容積もあり、複雑な旋回装置も要らないため製造および取り扱いが容易な上、重量も節減できた。
また操向機を改良し、重量を軽減して機動性能の向上を図ったKV-1S重戦車のシャシーは、本自走砲にも良好な走行性能を保証した。

1943年中に704両が生産されたSU-152重突撃砲は独立重自走砲連隊（21両）に編制され、方面軍直轄の扱いで重要方面に投入され、戦車部隊や歩兵部隊の直接支援に当たった。
1943年7月のクールスク戦以降の作戦では、重量48.7kgの徹甲榴弾を発射する152mm加農榴弾砲が、ドイツ軍のティーガーＩ重戦車やパンター中戦車に対して期待に違わぬ威力を示し、「ズヴェルボイ」（猛獣殺し）の異名を与えられるところとなった。

しかし、SU-152重突撃砲は軽量化を図るあまり主要部装甲厚を60mmに抑えたため、独ソ戦後期における対戦車砲火に対して防御力が不足気味であり、152mm砲弾の搭載数がわずか20発であるという欠点も抱えていた。
やがて新型重戦車のISシリーズが登場すると、重自走砲の生産もIS重戦車の車体をベースとしたISU-152重突撃砲等に切り替えられ、SU-152重突撃砲の生産は中止された。
しかし、生き残ったSU-152重突撃砲は独ソ戦の終結まで前線で奮闘した。