FV107シミター装甲偵察車はFV101スコーピオン偵察軽戦車の派生型の1つで、偵察部隊に配備される近接偵察用車両として開発されたものである。 本車の開発は、アルヴィス社(現BAEシステムズ・ランド&アーマメンツ社)によってスコーピオン偵察軽戦車と並行して進められ、1971年7月に試作車が完成し、1973年6月にFV107「シミター」(Scimitar:三日月刀)として制式採用されている。 1974年から部隊配備が開始されており、イギリス陸軍向けとして486両が生産された。 シミター装甲偵察車とスコーピオン偵察軽戦車は基本的には同規格車だが、スコーピオン偵察軽戦車が対戦車戦闘能力を考慮して主砲に23口径76.2mm戦車砲L23を装備しているのに対し、シミター装甲偵察車は対戦車戦闘能力を求められていないため、軽装甲車両などに対してより効果的な攻撃を行うことができる81.3口径30mmラーデン砲L21を装備していることが大きな相違点となっている。 30mmラーデン砲L21は有効射程2,000m、最大発射速度120発/分、連続発射、単発射撃の他6発までのバースト射撃も可能である。 薬莢は、車外に自動排出される。 シミター装甲偵察車は、武装の変更や細部の装備を除くと車体、砲塔共にスコーピオン偵察軽戦車と同一で、車体周囲に装備されていた浮航スクリーンも改修により廃止されている。 また最近ではスコーピオン偵察軽戦車と同じく、エンジンをブリティッシュ・レイランド・モーター社製のジャギュアJ60 No.1 Mk.100B 直列6気筒液冷ガソリン・エンジン(出力190hp)から、アメリカのカミンズ社製の6BTA5.9 直列6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力190hp)へ換装する作業が進められており、寿命延長が図られている。 |
|||||
<FV107シミター装甲偵察車> 全長: 5.148m 車体長: 4.794m 全幅: 2.242m 全高: 2.096m 全備重量: 8.07t 乗員: 3名 エンジン: ジャギュアJ60 No.1 Mk.100B 直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 190hp/4,750rpm 最大速度: 80.5km/h 航続距離: 644km 武装: 81.3口径30mmラーデン砲L21A1×1 (165発) 7.62mm機関銃L43A1×1 (3,000発) 装甲厚: |
|||||
<参考文献> ・「パンツァー2015年8月号 ユニオンジャックの尖兵 シミター装甲偵察車」 柘植優介 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2008年7月号 スコーピオン偵察車輌シリーズ」 佐藤慎ノ亮 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2004年4月号 イギリスのスコーピオン/シミター装甲偵察車」 アルゴノート社 ・「パンツァー2014年3月号 ベルギー軍AFV 1970〜2010」 城島健二 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年12月号 イギリス機甲部隊発達史」 城島健二 著 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2021〜2022」 アルゴノート社 ・「世界の戦車(2) 第2次世界大戦後〜現代編」 デルタ出版 ・「世界の主力戦闘車」 ジェイソン・ターナー 著 三修社 ・「世界の装軌装甲車カタログ」 三修社 ・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版 ・「戦車名鑑 1946〜2002 現用編」 コーエー ・「世界の最新陸上兵器 300」 成美堂出版 |
|||||