BACK  HOME

S-400トリウームフ対空ミサイル・システム





S-400「トリウームフ」(Triumf:大勝利)対空ミサイル・システム(NATOコードネーム:SA-21「グラウラー」(Growler:がみがみ屋))は、モスクワのアルマーズ設計局(2009年にアルマーズ・アンテーイ設計局に改組)が、S-300対空ミサイル・システムの後継として開発した超長距離地対空ミサイル・システムである。
以前は「S-300PM3」もしくは「S-300PMU3」の名称で知られていたS-400対空ミサイル・システムは、1990年代末に開発が開始され、1999年1月にロシア軍による正式発表が行われた。

当初は2001年よりロシア軍に配備される予定であったが、試験中に事故が起こったため計画は延期され、最終的に2004年2月まで開発が続けられた。
本システムは2007年4月よりロシア軍への配備が開始されており、2015年の段階で152ユニットが生産されている。

また本システムは中国とインドに輸出されることが決定している他、ベラルーシ、サウジアラビア、ヴェトナムなど数カ国が導入に興味を示している。
S-400対空ミサイル・システムは航空機、巡航ミサイル、中距離弾道ミサイルの迎撃を主目的として開発されており、対空ミサイルを収めたキャニスターを4連装で装備する10輪トレイラーベースの自走発射機を中心に、400km以内の100個の目標を処理できる多機能レーダーなど5種類の車両で1ユニットを構成する。

前作のS-300対空ミサイル・システムと同じく、対空ミサイルはシールされて10年間保守不要のキャニスターに収められており、発射時にはキャニスターを垂直に立ててコールドローンチ方式で発射される。
本システムで使用する対空ミサイルは、ファケル設計局が開発した9M96シリーズ、48N6シリーズ、40N6シリーズの3系統が用意されており、これらを組み合わせて使用するようになっている。
また、従来のS-300Pシリーズ用の対空ミサイルを使用することも可能になっている。

9M96シリーズは短〜中距離用で、元々S-300PMU2対空ミサイル・システム用に開発されたものであり、弾道ミサイルへの限定的な対処能力がある。
9M96E1と9M96E2の2種類が開発されており、9M96E1は発射重量333kg、最大有効射程40km、9M96E2は発射重量420kg、最大有効射程120kmとなっている。
9M96シリーズはサイズが小型で、48N6用キャニスター1本に9M96が4本入る。

またアメリカのペイトリオット対空ミサイルPAC-3と類似点が多く、サイドスラスターを装備しており、目標突入時にサイドスラスターの噴射で弾体を直接制御するモードを備える。
48N6シリーズは中〜長距離用で、最新型の48N6DMは発射重量1,835kg、最大有効射程250kmとなっている。
40N6シリーズは長〜超長距離用で、最大有効射程400kmとペイトリオット対空ミサイルPAC-2の2倍以上の射程距離を誇る。

超水平線(OTH)攻撃を可能とするセンサーとデータリンクシステムを搭載し、航空機、巡航ミサイルはもちろん、射程3,500km、飛翔速度4,800m/秒までならば弾道ミサイルにも対処可能である。
40N6対空ミサイルの弾道ミサイル迎撃能力は、1972年に米ソ間で締結された弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)の下で許可された上限能力に近い値である。

しかし、2002年にアメリカがABM条約を脱退したため条約は事実上無効化しており、ロシア軍はS-400対空ミサイル・システム用に、より弾道ミサイル迎撃能力を向上させた新型ミサイルを開発している模様である。
またABM条約の無効化に伴って、ロシア軍はS-400対空ミサイル・システムよりも弾道ミサイル迎撃能力を大きく向上させた、新型対空ミサイル・システムS-500「プロメテーイ」(Prometey:プロメテウス、ギリシャ神話に登場する巨人の神)の開発も進めている。

S-400が400km先の6個の目標に対する同時処理能力を有しているのに対し、S-500は600km先の10個の目標に対する同時処理能力を有しているといわれる。
S-500対空ミサイル・システムは2016年末〜2017年にロシア軍への配備が開始される予定となっており、旧式化したS-300対空ミサイル・システムの後継として配備が進められるのみならず、S-400対空ミサイル・システムをも置き換える存在になる可能性がある。


<9M96E対空ミサイル>

全長:       
直径:       
発射重量:    333kg
弾頭重量:    24kg
誘導方式:    アクティブ・レーダー
最大飛翔速度: 900m/秒
最大有効射程: 40km
最大有効射高: 20km


<9M96/9M96E2対空ミサイル>

全長:       
直径:       
発射重量:    420kg
弾頭重量:    24kg
誘導方式:    アクティブ・レーダー
最大飛翔速度: 1,000m/秒
最大有効射程: 120km
最大有効射高: 30km


<48N6E2対空ミサイル>

全長:       
直径:       
発射重量:    1,835kg
弾頭重量:    180kg
誘導方式:    セミアクティブ・レーダー
最大飛翔速度: 2,000m/秒
最大有効射程: 200km
最大有効射高: 


<48N6DM/48N6E3対空ミサイル>

全長:       
直径:       
発射重量:    1,835kg
弾頭重量:    180kg
誘導方式:    セミアクティブ・レーダー
最大飛翔速度: 2,000m/秒
最大有効射程: 250km
最大有効射高: 


<40N6対空ミサイル>

全長:       
直径:       
発射重量:    
弾頭重量:    
誘導方式:    セミアクティブもしくはアクティブ・レーダー
最大飛翔速度: 
最大有効射程: 400km
最大有効射高: 185km


<参考文献>

・「ウォーマシン・レポート37 ロシア軍車輌 インアクション」  アルゴノート社
・「パンツァー2010年7月号 W.W.II戦勝記念パレード」  アルゴノート社
・「パンツァー1999年4月号 海外ニュース」  アルゴノート社
・「最強 世界のミサイル・ロケット兵器図鑑」 坂本明 著  学研
・「世界の戦車パーフェクトBOOK」  コスミック出版


BACK  HOME