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RJPz.2駆逐戦車





西ドイツ陸軍は90mm加農砲を装備するKJPz.4-5駆逐戦車の開発に際して、フランスのイスパノ・スイザ社製のHS30装甲兵員輸送車の足周りを用いて加農砲装備型と対戦車ミサイル装備型の駆逐戦車、偵察車両、歩兵戦闘車などの各種車両をファミリー化する方針を採った。
そしてKJPz.4-5駆逐戦車と共に運用される対戦車ミサイル装備型の駆逐戦車として誕生したのが、このRJPz.2駆逐戦車である。

本車の開発はハノーファーのハノマーク社(Hannoversche Maschinenbau AG:ハノーファー機械製作所)が担当し1961〜62年にかけて試作車の製作が行われ、続いてハノマーク社とカッセルのヘンシェル社によりそれぞれ3両ずつの増加試作車が1963年に製作され、試験も問題無く終了して同年中に「RJPz.2」(Raketenjagdpanzer 2:ミサイル装備型駆逐戦車2型)として制式化される運びとなったが、実際の生産はKJPz.4-5駆逐戦車の生産が終わった1967年から開始された。

RJPz.2駆逐戦車もKJPz.4-5駆逐戦車と同様ハノマーク、ヘンシェル両社の分担生産という方針が採られ、1967〜68年にかけてそれぞれ185両ずつを生産し合計で370両が完成している。
RJPz.2駆逐戦車は車体、戦闘室共にKJPz.4-5駆逐戦車と基本的な構造は同じだったが、主砲を装備していないため戦闘室の前面装甲板はフラットな1枚板となり、戦闘室前面右側にボールマウント式銃架を設けて副武装の7.62mm機関銃MG3を装備したのが大きな相違点である。

主武装は戦闘室上面左右にそれぞれ独立した昇降式ミサイル発射機を設けて、フランスのノール社(現EADS社)が開発したSS-11対戦車誘導ミサイルを装備していた。
ミサイル発射機はそれぞれ90度ずつ外側に振ることができ合わせて180度の旋回角を有し、20度までの仰角を取ることが可能であった。

SS-11対戦車ミサイルは第1世代の有線誘導式対戦車ミサイルで4枚の安定翼によって本体の安定を図っていたが、発射後ミサイルが安定飛行するまでの500mは誘導は不可能となっていた。
500mを飛翔して本体が安定してからは戦闘室内のミサイル射手の手で誘導が行われ、最大有効射程は2,000mに達し厚さ600mmのRHA(均質圧延装甲板)を貫徹することが可能であった。

射手は戦闘室の上面から突出した照準機を用いて、目標と飛翔するミサイルを交互に目視しながら誘導した。
戦闘室内には14発のSS-11対戦車ミサイルが収容されており、発射後ミサイル発射機を車内に引き込んで装填手の手で再装填を行い、再びミサイル発射機を持ち上げるというサイクルが繰り返された。
戦闘室内には前方に操縦手と射手が並列に位置し、戦闘室の上面にそれぞれ専用のハッチと3基ずつのペリスコープが備えられていた。

KJPz.4-5駆逐戦車と同じく機関室の上面には扇形に8基の発煙弾発射機が装備されており、車体後面には荷物用のラックが設けられていた。
後にRJPz.2駆逐戦車の武装をユーロミサイル社(現MBDA社)製の新世代対戦車ミサイルHOTに換装することになり、HOT対戦車ミサイルの発射機を搭載した改修車両には「RJPz.3」(Raketenjagdpanzer 3:ミサイル装備型駆逐戦車3型)「ヤグアル」(Jaguar:ジャガー)の名称が与えられた。


<RJPz.2駆逐戦車>

全長:    6.43m
全幅:    2.98m
全高:    2.60m
全備重量: 23.0t
乗員:    4名
エンジン:  ダイムラー・ベンツMB837Aa-500 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル
最大出力: 500hp/2,200rpm
最大速度: 70km/h
航続距離: 400km
武装:    SS-11対戦車ミサイル発射機×2 (14発)
        7.62mm機関銃MG3×2 (2,000発)
装甲厚:   8〜30mm


<参考文献>

・「パンツァー2017年1月号 大戦後ドイツ初のAFV ヤークトパンツァー・シリーズ」 鈴木達也 著  アルゴノート
 社
・「パンツァー2008年3月号 ドイツの戦後最初のAFV ヤークトパンツァー」 佐藤慎ノ亮 著  アルゴノート社
・「パンツァー2000年6月号 ドイツ陸軍 ヤークトパンツァー・シリーズ」  アルゴノート社
・「パンツァー2017年9月号 西ドイツ軍戦車概史(後)」 古峰文三 著  アルゴノート社
・「パンツァー2018年6月号 幻の東部戦線(15)」 古峰文三 著  アルゴノート社
・「ウォーマシン・レポート9 レオパルト1と第二世代MBT」  アルゴノート社
・「世界の軍用車輌(2) 装軌式自走砲:1946〜2000」  デルタ出版
・「世界の主力戦闘車」 ジェイソン・ターナー 著  三修社
・「世界の装軌装甲車カタログ」  三修社
・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著  グランプリ出版
・「戦車名鑑 1946〜2002 現用編」  コーエー


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