アメリカ陸軍兵器局は第2次世界大戦終了直後の1946年に、M24軽戦車の後継となる新型軽戦車の開発をミシガン州デトロイトのジェネラル・モータース社に依頼した。 「T37」の試作名称が与えられて新型軽戦車の開発がスタートしたが、このT37軽戦車はフェイズI、II、IIIの名称で3種類の異なる車両が製作され、続いてフェイズIIはその後「T41」と改称、そしてこの発展型として各部に改良を図ったT41軽戦車が3両試作されたのに続き、さらなる改良を加えたT41E1軽戦車に発展した。 そしてこのT41E1軽戦車は、1950年1月に100両が発注されて生産を開始した。 T41E1軽戦車は戦闘重量19t、砲塔は後部を延長して主砲の弾薬を収めるバスルとした、360度旋回可能な鋳造溶接砲塔で、主砲は新たに設計された軽量、高初速の60口径76.2mm戦車砲M32を装備し、砲塔前部に装着された基線長式測遠機と連動して射撃を行うようになっていた。 この76.2mm戦車砲M32は、M4中戦車に装備されていた52口径76.2mm戦車砲M1に比べ重量も軽く、有効射程距離もM1の4,500mに比べて5,200mと長く、高度な破壊能力を備えていた。 この他の武装として12.7mm重機関銃M2を砲塔上部の対空用銃架に1挺、7.62mm機関銃M1919A4を主砲と同軸に1挺、砲塔上部の対空用銃架にも1挺装備していた。 エンジンは1943年から陸軍兵器局が将来の戦車用エンジンとして研究開発していた、アラバマ州のコンティネンタル発動機製作所製のAOS-895-3 水平対向6気筒空冷スーパーチャージド・ガソリン・エンジン(出力500hp)を採用し、45マイル(72.42km)/hの路上最大速度を得ることができた。 折しも1950年6月25日に朝鮮戦争が勃発したが、この時点においてアメリカ陸軍機甲部隊が装備していた軽戦車は、第2次大戦終了時と同じ旧式のM24軽戦車であった。 北朝鮮軍の主力戦車はソ連製のT-34-85中戦車であったが、これと戦ったM24軽戦車は射程距離に優るT-34-85中戦車にアウトレンジから攻撃を受け、惨敗してしまった。 この結果、T41E1軽戦車は試験が完了しないうちに生産ラインから直接戦場に投入されることになった。 実戦においてT41E1軽戦車は色々な欠点が発見されたが、特に命中率向上のために採用した基線長式測遠機の照準が、射撃の振動によって狂いが生ずるという致命的な欠陥が認められたため、基線長式測遠機の代わりに従来型の直接照準望遠鏡を装備したT41E1軽戦車が試作された。 T41E1軽戦車はその後2年に渡り各種の試験と改良が進められ、1953年5月に「76mm砲戦車M41」(76mm Gun Tank M41)として制式化された。 同時に、1950年12月23日に朝鮮戦争の前線視察中に事故死したウォルトン・ウォーカー陸軍中将に因んで、「ウォーカー・ブルドッグ」(Walker Bulldog)の愛称が与えられている。 M41軽戦車の生産はジェネラル・モータース社傘下のキャディラック社の手で行われ、生産型第1号車は1951年半ばに完成し、1,802両が完成した時点で生産は改良型のM41A1軽戦車に移行した。 さらにマイナー・チェンジを行ったM41A2、M41A3と順次生産が続けられ、最終的には5,500両近くが完成している。 M41軽戦車はM551空挺軽戦車が登場するまでアメリカ陸軍の主力偵察戦車の座にあり、1961年には日本の陸上自衛隊にも147両が供与され、61式戦車と並んで主力戦車として装備された。 M551空挺軽戦車が登場した後は同車に改編されてアメリカ陸軍からは姿を消したが、日本を始め28カ国において使用が続けられ、スペインやブラジルなどの国では独自に改良を加えて耐用年数の延長が図られている。 |
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<M41軽戦車> 全長: 8.212m 車体長: 5.819m 全幅: 3.198m 全高: 2.726m 全備重量: 23.224t 乗員: 4名 エンジン: コンティネンタルAOS-895-3 4ストローク水平対向6気筒空冷スーパーチャージド・ガソリン 最大出力: 500hp/2,800rpm 最大速度: 72.42km/h 航続距離: 161km 武装: 60口径76.2mmライフル砲M32×1 (57発) 12.7mm重機関銃M2×1 (600発) 7.62mm機関銃M1919A4×2 (5,225発) 装甲厚: 9.53〜38.1mm |
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<M41A1軽戦車> 全長: 8.212m 車体長: 5.819m 全幅: 3.198m 全高: 2.726m 全備重量: 23.496t 乗員: 4名 エンジン: コンティネンタルAOS-895-3 4ストローク水平対向6気筒空冷スーパーチャージド・ガソリン 最大出力: 500hp/2,800rpm 最大速度: 72.42km/h 航続距離: 161km 武装: 60口径76.2mmライフル砲M32×1 (65発) 12.7mm重機関銃M2×1 (600発) 7.62mm機関銃M1919A4×2 (4,900発) 装甲厚: 9.53〜38.1mm |
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<参考文献> ・「パンツァー2013年6月号 アメリカのTシリーズ試作戦車(16) T35火焔放射戦車、T37軽戦車/T40中戦車/T41 軽戦車シリーズ」 大佐貴美彦 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年7月号 アメリカのTシリーズ試作戦車(17) T41軽戦車/T42中戦車/T43重戦車シリーズ」 大佐貴美彦 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2002年7月号 陸自の車輌・装備シリーズ M41軽戦車」 田村尚也 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2006年2月号 M41ウォーカー・ブルドッグ」 三鷹聡/林磐男 共著 アルゴノート社 ・「パンツァー2004年6月号 アメリカのT41/T42試作戦車」 城島健二 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2011年2月号 アップグレードされたM41」 柘植優介 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2002年7月号 大戦後の傑作軽戦車 M41」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2021年12月号 M41軽戦車シリーズ」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2010年4月号 M41戦車シリーズ」 島内慶太 著 ガリレオ出版 ・「世界の戦車(2) 第2次世界大戦後〜現代編」 デルタ出版 ・「戦後の日本戦車」 古是三春/一戸崇雄 共著 カマド ・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版 ・「自衛隊歴代最強兵器 BEST200」 成美堂出版 ・「徹底解剖!世界の最強戦闘車両」 洋泉社 ・「世界の戦車・装甲車」 竹内昭 著 学研 |
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