M20装甲車はM8装甲車から砲塔を取り外した汎用型で、M8装甲車の開発当初から企画されていた派生型である。 M20装甲車では、M8装甲車に搭載されていた37mm戦車砲装備の砲塔が取り外され、戦闘室上面の装甲を撤去して四角くオープンにし、周囲を背の低いシールドで囲った単純な兵員室が構成された。 兵員室の内部には、左右の縦位置に木製のベンチシートが設けられた。 兵員室の上部にはM49もしくはM66リングマウント式銃架が取り付けられ、自衛用の12.7mm重機関銃M2を装備していた。 12.7mm機関銃弾は1,000発が搭載された。 本車は試作段階では「T26」と呼ばれ、1943年4月に「M10汎用装甲車」として制式化されたが、この名称はM10 3インチ対戦車自走砲と紛らわしいことから、改めて「M20」の制式番号に変更されたという経緯を持つ。 同様の外見で、しかも分類上も同じ「M20」の制式番号なのであまり区別されることは無いが、実はM20装甲車には機種の異なる複数の通信機を搭載した観測指揮型と、場合によっては通信機は1基も搭載していない輸送型の2タイプが存在した。 乗員は車体前部の操縦室に操縦手、副操縦手の2名が搭乗する他、車体後部の兵員室に4名までの兵員を収容することができた。 M20装甲車の基本性能は全てM8装甲車に準じており、1943〜45年にかけて総計で3,791両が生産された。 偵察用に戦車をふんだんに使えるアメリカ軍にあっては、M20装甲車はM8装甲車より使い道が広かったようで、制式装備とされていた期間もM8装甲車より長かった。 また本車はM8装甲車と同様に、レンドリースによってイギリス連邦軍や自由フランス軍にも供与された。 戦後もNATO諸国を始め多数の国々に供与され、日本の陸上自衛隊にも装備されていた。 |
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<M20装甲車> 全長: 5.004m 全幅: 2.54m 全高: 2.311m 全備重量: 5.806t 乗員: 2名 兵員: 4名 エンジン: ハーキュリーズJXD 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン 最大出力: 110hp/3,000rpm 最大速度: 88.51km/h 航続距離: 563km 武装: 12.7mm重機関銃M2×1 (1,000発) 装甲厚: 3.18〜19.05mm |
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<参考文献> ・「第2次大戦 AFVファイル Vol.3 M3中戦車、巡航戦車クロムウェル&M8装甲車」 遠藤慧 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2014年1月号 第2次大戦 アメリカ装輪装甲車」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2019年2月号 米軍装輪装甲車開発史」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「グランドパワー2021年9月号 M8/M20軽装甲車」 後藤仁 著 ガリレオ出版 ・「世界の軍用車輌(4) 装輪式装甲車輌:1904〜2000」 デルタ出版 ・「第2次大戦 イギリス・アメリカ軍戦車」 デルタ出版 ・「パンツァー2001年1月号 M8装甲車の総て その開発から構造、派生車まで」 白石光 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2014年1月号 AFV比較論 M8 vs Sdkfz.231装甲偵察車」 久米幸雄 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2003年8月号 陸上自衛隊の供与車輌」 高城正士 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2013年7月号 懐かしの自衛隊車輌」 前河原雄太 著 アルゴノート社 ・「世界の戦車・装甲車」 竹内昭 著 学研 ・「戦車名鑑 1939〜45」 コーエー |
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