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M19対空自走砲





第2次世界大戦に入ってアメリカ陸軍は、ヨーロッパでの戦訓から機甲部隊に随伴する強力な対空装甲車両が必要との認識を固め、ハーフトラックの車台をベースにした数種類の対空自走砲(M15、M16等)を実用化すると共に、1943年2月からはM5A1軽戦車の車台をベースに、より強力な武装を装備するT64対空自走砲の開発を開始した。

しかし1943年半ばになると高性能が期待できる新型軽戦車M24の開発が軌道に乗ったため、このM24軽戦車の車台をベースに各種自走砲をファミリー化することで開発、生産、運用に掛かるコストの軽減を図る「ライト・コンバット・チーム」構想が打ち出され、対空自走砲についてもM24軽戦車の車台をベースに開発するよう方針が変更された。

そして、オープントップ式の全周旋回式砲塔に連装で40mm対空機関砲を搭載したT65E1対空自走砲が試作され、若干の改良を経て1944年8月に「M19 連装40mm自走砲」(Twin 40mm Gun Motor Carriage M19)としてアメリカ陸軍に制式採用されたのである。
M19対空自走砲は4名が操作する全周旋回式砲塔を車体後部に搭載する型式としたため、機関室は車体中央部、変速・操向機と2名分の操縦室は車体前部に移され、車体の装甲厚も最大12.7mmと薄く抑えられていた。

砲塔の旋回と機関砲の俯仰は動力式となっており、機関砲の俯仰角は−3〜+85度となっていた。
M19対空自走砲の主武装に採用されたのは、スウェーデンのボフォース社製の40mm対空機関砲の改良型である66口径40mm対空機関砲M2であった。
この機関砲は単発または連続発射が可能で、発射速度は120発/分(1門当たり)で4発ずつのクリップで給弾された。

弾薬は、砲塔周囲に設けられたラックの弾薬箱に合計336発が搭載されていた。
使用弾薬はHE(榴弾)、AP(徹甲弾)、TP(演習弾)で砲口初速は872〜880m/秒、最大射程は4,000〜8,000mであったが一般的な交戦距離は5,000m程度であった。
この40mm対空機関砲M2は第2次世界大戦中、アメリカ軍艦他に搭載されての活躍が示すように優れた性能を備えていた。

ただ時期からいって当然のように照準方式はレーダーの無い目視照準であり、対処能力に限界があったのは確かである。
なおM19対空自走砲の改良型としてM19A1対空自走砲が作られたが、M19対空自走砲にAPU(補助動力装置)を搭載し動力式旋回・俯仰装置を改良した程度であまり大きな違いは無い。

M19対空自走砲は1944年8月にキャディラック社とマッシー・ハリス社に対して合計904両が発注され、1945年4月から生産が開始されたが、同年6月までにM19とM19A1合わせて285両が完成したところで終戦を迎えたため、残りの発注はキャンセルされた。
本車はアメリカ陸軍機甲防空大隊の主力火器として、1950年6月に勃発した朝鮮戦争などで使用された。
日本の陸上自衛隊にもM19A1対空自走砲が約40両供与され、1960年代終わりまで運用が続けられた。


<M19対空自走砲>

全長:    5.812m
全幅:    2.931m
全高:    2.964m
全備重量: 17.69t
乗員:    6名
エンジン:  キャディラック・シリーズ44T4 4ストロークV型8気筒液冷ガソリン×2
最大出力: 296hp/3,200rpm
最大速度: 56.33km/h
航続距離: 161km
武装:    66口径40mm対空機関砲M2×2 (336発)
        12.7mm重機関銃M2×1 (300発)
装甲厚:   6.35〜12.7mm


<M19A1対空自走砲>

全長:    5.812m
全幅:    2.931m
全高:    2.964m
全備重量: 18.598t
乗員:    6名
エンジン:  キャディラック・シリーズ44T4 4ストロークV型8気筒液冷ガソリン×2
最大出力: 296hp/3,200rpm
最大速度: 56.33km/h
航続距離: 161km
武装:    66口径40mm対空機関砲M2×2 (336発)
        12.7mm重機関銃M2×1 (300発)
装甲厚:   6.35〜12.7mm


<参考文献>

・「パンツァー2002年4月号 陸自の車輌・装備シリーズ M19/M42対空自走砲」 田村尚也 著  アルゴノート社
・「パンツァー2008年7月号 陸上自衛隊の対空車輌の変遷」 柘植優介 著  アルゴノート社
・「パンツァー2000年3月号 朝鮮戦争における国連軍戦車」 水野靖夫 著  アルゴノート社
・「パンツァー2011年11月号 M24軽戦車のバリエーション」 橘哲嗣 著  アルゴノート社
・「パンツァー2003年8月号 陸上自衛隊の供与車輌」 高城正士 著  アルゴノート社
・「パンツァー2013年7月号 懐かしの自衛隊車輌」 前河原雄太 著  アルゴノート社
・「陸自車輌50年史」  アルゴノート社
・「グランドパワー2014年12月号 M24チャフィーの開発と構造」 後藤仁 著  ガリレオ出版
・「世界の軍用車輌(1) 装軌式自走砲:1917〜1945」  デルタ出版
・「第2次大戦 イギリス・アメリカ軍戦車」  デルタ出版
・「異形戦車ものしり大百科 ビジュアル戦車発達史」 斎木伸生 著  光人社
・「自衛隊歴代最強兵器 BEST200」  成美堂出版
・「戦車パーフェクトBOOK」  コスミック出版


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