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B33ツィンブル装甲兵員輸送車





B33「ツィンブル」(Zimbru:野牛)装甲兵員輸送車は、TAB-77装甲兵員輸送車の後継として開発された国産の8輪装甲車である。
本車は1987年に開発が開始され、翌88年に制式化されてルーマニア陸軍への配備が開始されている。
しかし一般公開は長らく制限され、初めて公開されたのは1996年のことである。

B33装甲兵員輸送車は、ロシア陸軍の主力8輪装甲車であるBTR-80装甲兵員輸送車の改良ライセンス生産型であり、基本的な構造やデザインはBTR-80と同一であるが、細かい部分に相違点が見られる。
前作のTAB-77装甲兵員輸送車からの最大の改良点はエンジンで、出力132hpのディーゼル・エンジン2基から出力280hpのディーゼル・エンジン1基に変更されている。

従来のルーマニア製8輪装甲車は原型となった旧ソ連製8輪装甲車と同じく、2基のエンジンでそれぞれ第1・第3車軸と第2・第4車軸を駆動させるようになっていたため、エンジンの不調や整備性の悪さが欠点になっていたが、B33装甲兵員輸送車は1基のエンジンで全車軸を駆動させるようになったことでこれらの欠点が改善されている。
またB33装甲兵員輸送車では車体側面の乗降用ハッチも全面改良され、より大型のものに変わっている。

これは2つのパーツに分かれており、上部を開くと下部のハッチが自重で外に倒れてステップになるというもので、兵員の迅速な展開が可能になった。
車体上面中央には1名用の砲塔が装備されているが、これはTAB-71M/TAB-77装甲兵員輸送車に搭載されていた砲塔と同じルーマニア・オリジナルのものである。

なおこの砲塔に関しては、ユーザーの要求に応じて小型や中型のものが搭載可能になっているとされるが、具体的にどういうものかは提示されていない。
B33装甲兵員輸送車の生産は2000年まで続けられ、70両が完成してルーマニア陸軍に配備された。
なお、B33装甲兵員輸送車のさらなる発展型としてツィンブル2000装甲兵員輸送車が開発されているが、まだルーマニア陸軍には採用されていない。

ツィンブル2000装甲兵員輸送車は車体を大型化して内部容積を増大させている他、エンジンをドイツのドゥーツ社製のBF6M1013FC 直列6気筒液冷ディーゼル・エンジン(出力268hp)に換装している。
また砲塔がイスラエルのラファエル社製の遠隔操作式武装ステイションOWS-25Rに変更され、武装がスイスのエリコン社製の80口径25mm機関砲KBAと、ロシア製の9M14-2T「マリュートカ(赤ん坊)2T」対戦車ミサイルの組み合わせに強化されている。


<B33ツィンブル装甲兵員輸送車>

全長:    7.65m
全幅:    2.90m
全高:    2.52m
全備重量: 14.0t
乗員:    3名
兵員:    7名
エンジン:  8V-1240-DT-S 4ストロークV型8気筒液冷ディーゼル
最大出力: 280hp
最大速度: 85km/h(浮航 10km/h)
航続距離: 700km
武装:    14.5mm重機関銃KPVT×1 (500発)
        7.62mm機関銃PKT×1 (2,000発)
装甲厚:   6〜20mm


<参考文献>

・「パンツァー2011年10月号 現代のルーマニア軍」 鹿内誠 著  アルゴノート社
・「世界のAFV 2018〜2019」  アルゴノート社
・「世界の最新装輪装甲車カタログ」  三修社
・「新・世界の装輪装甲車カタログ」  三修社


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