1934年、ヴィッカーズ・アームストロング社はカーデン・ロイドMk.IV豆戦車の後継車として、野砲牽引および機関銃運搬の2つの用途に使える小型装軌式車両を自主開発した。 試作車は1935年に完成し、イギリス陸軍はこの車両に「VAD500」の試作コードを与え評価試験を行った。 その結果限定的ではあるが採用され、牽引車タイプはドラゴン砲牽引車Mk.IIIとなり、機関銃運搬車タイプが後に本車となる。 機関銃運搬車タイプは、1936年4月に追加試作の形で13両が生産された。 同年末にはさらに41両が発注され、制式名称が「マシンガン・キャリア(機関銃運搬車)No.2 Mk.I」となった。 本車は、操縦手席左側の銃座に7.7mmヴィッカーズ液冷重機関銃か14mmボーイズ対戦車銃を搭載できたが、1938年に新しい7.7mmブレン空冷軽機関銃が登場すると、専ら重厚なヴィッカーズ重機関銃の代わりにこちらを搭載するようになり、自然、呼称も「ブレンガン・キャリア」とされるようになった。 本車は以後、制式採用されてイギリス連邦軍に広く装備されるようになり、偵察用や対戦車砲の牽引用に用いられた。 ブレンガン・キャリアには、軽騎兵戦車連隊の要員輸送用に6名分の座席を車体後部に設けたキャヴァルリー・キャリア、偵察用のスカウト・キャリア、砲兵観測用のオブザヴェイション・ポスト・キャリアなどのヴァリエーションがあり、1940年までに全型式合計で約15,000両が生産された。 |
<ブレンガン・キャリア> 全長: 3.65m 全幅: 2.10m 全高: 1.60m 全備重量: 3.81t 乗員: 2名 エンジン: フォード V型8気筒液冷ガソリン 最大出力: 65hp/3,500rpm 最大速度: 48.28km/h 航続距離: 257km 武装: 7.7mmブレン軽機関銃×1 装甲厚: 3〜10mm |
<参考文献> ・「パンツァー2008年11月号 イギリス陸軍 キャリアー装甲車シリーズ」 前河原雄太 著 アルゴノート社 ・「グランドパワー2000年7月号 イギリス軍軽装軌車輌 1920〜39」 嶋田魁 著 デルタ出版 ・「世界の軍用車輌(3) 装軌/半装軌式戦闘車輌:1918〜2000」 デルタ出版 ・「第2次大戦 イギリス・アメリカ軍戦車」 デルタ出版 ・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著 グランプリ出版 |