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AMX-30DCA対空自走砲





1960年代末にフランス陸軍は、AMX-13軽戦車をベースとしたAMX-13DCA対空自走砲の後継として、より大型でゆとりのあるAMX-30戦車をベースとした対空戦車を開発することを決定した。
これはAMX-30戦車の車体に、AMX-13DCA対空自走砲で採用されたSAMM社製のS401A砲塔システムを搭載するもので、「AMX-30DCA」の名称で試作車が製作された。

AMX-30DCA対空自走砲は、AMX-13DCA対空自走砲より車体が大型化した分搭載弾薬数などの面でプラス要素があったものの、こと対空戦闘に限った場合能力的にはAMX-13DCA対空自走砲と同一のため、フランス陸軍はあえて本車に更新するメリットを重視せず結局不採用となった。

しかし、1975年にサウジアラビア陸軍がフランスからシャヒネ対空ミサイル・システムを購入することを決めた際、行動を共にして対空戦闘を行う車両としてAMX-30DCA対空自走砲を53両発注し、この要求によりGIAT社の手で生産が行われた。
このサウジアラビア向けの車両は「AMX-30SA」と呼ばれており、砲塔システムが新型のTG230Aに替わったのが最大の相違点となっている。

TG230A砲塔システムは、S401A砲塔システムと同じくイスパノ・スイザ社製の30mm対空機関砲HSS831Aを連装で装備しているが、1門当たりの搭載弾薬数は900発に増加し、砲塔上面後部の捜索レーダーもトムソンCSF社製の「ウイル・ベルト」に換装されて捜索距離が13.5kmから15kmに増大し、ヘリコプターの探知能力の強化も図られている。

またAMX-30戦車のサウジアラビア向け仕様であるAMX-30S戦車と同じく、車体左右側面には装甲スカートが標準装備されている。
なおAMX-30SA対空自走砲の発展型として、捜索レーダーと射撃統制システムの改良を図った「サーブル」(Sabre:サーベル)砲塔システムが試作されたが、生産には至っていない。


<AMX-30SA対空自走砲>

全長:    6.59m
全幅:    3.10m
全高:
全備重量: 37.0t
乗員:    3名
エンジン:  イスパノ・スイザHS110 水平対向12気筒液冷スーパーチャージド・ディーゼル
最大出力: 720hp/2,000rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 400km
武装:    30mm対空機関砲HSS831A×2 (1,800発)
装甲厚:   10〜79mm


<参考文献>

・「パンツァー2014年4月号 1960〜80年代に活躍したフランス製自走砲」 鈴木多郎 著  アルゴノート社
・「グランドパワー2016年3月号 AMX-30の開発と構造」 後藤仁 著  ガリレオ出版
・「世界の軍用車輌(2) 装軌式自走砲:1946〜2000」  デルタ出版
・「異形戦車ものしり大百科 ビジュアル戦車発達史」 斎木伸生 著  光人社
・「戦車メカニズム図鑑」 上田信 著  グランプリ出版


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