HOME研究室(第2次世界大戦後〜現代編)対空ミサイル・システム対空ミサイル・システム(日本)>93式近距離地対空誘導弾

93式近距離地対空誘導弾





93式近距離地対空誘導弾(略称:SAM-3、近SAM、愛称:クローズドアロー)は、従来の35mm2連装高射機関砲L-90の後継として開発された、近距離低空目標用の簡易型対空ミサイル・システムである。
最初の試作車が完成したのは1990年のことで、1993年に「93式近距離地対空誘導弾」として制式採用された。
本システムの生産は東芝が担当しており、1993年から調達が開始され翌94年から部隊への配備が始まっている。

ベース車体にはトヨタ自動車が開発した高機動車を用いており、車体後部の荷台に91式携帯地対空誘導弾の4連装発射機2基を持つ全周旋回式ターレットを搭載している。
通常型ではオープンだった乗員室の上面と後面には、ミサイル発射時のブラストに備えてカバーが取り付けられている。

91式携帯地対空誘導弾(略称:SAM-2、携SAM、愛称:ハンドアロー)は、アメリカ製のスティンガー対空ミサイルの後継として国産開発された歩兵携行式対空ミサイルで、1983年から開発が始まり1991年に制式化された。
スティンガーに比べ特に改良されたのはシーカーの能力で、画期的な可視画像/赤外線ホーミング方式を採用しており、正面要撃性、対妨害性、瞬間交戦性などがスティンガーより飛躍的に向上している。

SAM-3のターレットは遠隔操作式で乗員室内からの操作も可能だが、通常は乗員は操作用のコンソールを持って車を離れ、安全な場所から操作を行うのが基本的な運用方法とされている。
2基の4連装ミサイル発射機の間にはTVカメラや赤外線センサー等を収めるボックスがあり、上部にはIFF(Identification Friend or Foe:敵味方識別装置)のアンテナが取り付けられている。

目標はこのボックス内に搭載されたカメラまたはセンサーでキャッチされ、レーザーを照射されてロックオンされる。
誘導方式は可視画像+赤外線ホーミング方式で、最大有効射程は約5,000mといわれている。
本システムは、近接対空戦闘用という性格上目視による射撃が主になるため、固有のレーダーなどは搭載していない。

対空戦闘に必要な情報などは、上級指揮所から入手する。
コンセプトとしてはアメリカ陸軍で使用されている、汎用高機動車両HMMWVの荷台にスティンガー対空ミサイルの4連装発射機2基を持つ全周旋回式ターレットを搭載した、アヴェンジャー対空ミサイル・システムに良く似ている。
SAM-3は1994年に高射教導隊に配備されたのを皮切りに、1996年からは第2師団に実戦配備が始まり、以後2008年度までに合計113セットが調達されて全国の部隊に配備されている。


<誘導弾>

全長:       1.43m
直径:       0.08m
発射重量:    11.5kg
誘導方式:    可視画像+赤外線ホーミング
最大有効射程: 5,000m


<参考文献>

・「パンツァー2015年2月号 第3高射特科大隊/第3特科隊の93式近SAM射撃訓練」  アルゴノート社
・「パンツァー2003年10月号 AFV比較論 高機動車とハマー野戦車」 三鷹聡 著  アルゴノート社
・「パンツァー2016年4月号 第9師団第9高射特科大隊の93式近SAM実射訓練」  アルゴノート社
・「パンツァー2010年3月号 93式近SAM vs アベンジャー」 竹内修 著  アルゴノート社
・「パンツァー2008年5月号 第1高射特科大隊の近SAM発射訓練」  アルゴノート社
・「パンツァー2015年12月号 陸上自衛隊 対空装備の半世紀」  アルゴノート社
・「パンツァー2009年1月号 陸上自衛隊の装備車輌」  アルゴノート社
・「世界のAFV 2018〜2019」  アルゴノート社
・「大図解 世界のミサイル・ロケット兵器」 坂本明 著  グリーンアロー出版社
・「自衛隊歴代最強兵器 BEST200」  成美堂出版
・「世界の最新陸上兵器 300」  成美堂出版
・「陸上自衛隊 車輌・装備ファイル」  デルタ出版
・「ミサイル事典」 小都元 著  新紀元社
・「自衛隊装備年鑑」  朝雲新聞社
・「自衛隊図鑑 2002」  学研


HOME研究室(第2次世界大戦後〜現代編)対空ミサイル・システム対空ミサイル・システム(日本)>93式近距離地対空誘導弾