HOME研究室(第2次世界大戦後〜現代編)自走砲自走砲(中国)>54-1式/70-1式122mm自走榴弾砲

54-1式/70-1式122mm自走榴弾砲





54-1式122mm自走榴弾砲はNORINCO(中国北方工業公司)の手で開発された自走砲で、国産のYW531装甲兵員輸送車の車体をベースとして開発が進められた。
その開発時期などは明らかにされていないが、YW531装甲兵員輸送車の開発時期から見て1960年代半ば前後から開発が始められたものと思われる。
本車は1970年に制式化されており、西側が初めて存在を確認したのは1984年のことである。

本車の主武装である54-1式122mm榴弾砲は、旧ソ連より供与されていた牽引式の22.7口径122mm榴弾砲M1938(M-30)を中国でコピーしたものといわれており、密閉式であったYW531装甲兵員輸送車の兵員室上面にあたる部分を切り欠いてオープントップ式の戦闘室とし、戦闘室内部に架台を設けて54-1式122mm榴弾砲を搭載するという単純な方式を採っている。

すでに他国の同級の自走榴弾砲が砲塔型式を採っていたことを考えると、1960年代に入って開発された自走榴弾砲としては少々時代遅れの感があり、弾片に対する防御も充分とはいい難いが、曲がりなりにも中国が独自で開発したというところに意義があろう。
牽引砲に装着されていた防盾はそのまま用いられており、移動時などにはキャンバスで戦闘室の開口部が覆われるためシルエットが砲塔のように見える。

もちろん、このキャンバスは防御には何ら寄与しない。
車内レイアウトはベースとなったYW531装甲兵員輸送車と同様で、車体前部左側に操縦手席、その後方に1名分の乗員席、前部右側に車長席、その後方が機関室となっており、車体後部のオープントップ式の戦闘室部分に砲および4名の操砲要員が搭乗する。

操縦手には専用のハッチとペリスコープが用意されており、夜間走行用として車体前部右側に赤外線前照灯を1基装備しているが、ペリスコープに暗視装置などは組み込まれていない。
足周りはYW531装甲兵員輸送車と同じものが用いられており、上部支持輪が無く片側4個の大直径転輪で構成されており、履帯にはゴムパッドが装着されている。

後期生産車ではベース車体がYW531H装甲兵員輸送車に替わったため、片側5個の中直径転輪と3個の上部支持輪の足周りとなっている。
転輪はトーションバー式サスペンションで支えられ、第1、2、5転輪にはショック・アブソーバーが備えられている。
主砲の54-1式122mm榴弾砲は原型が1938年に制式化された旧式榴弾砲であるため、榴弾を用いた場合の最大射程は11,800mと極めて短く、砲口初速も515m/秒とこれまた遅い。

砲の旋回角は左右各22.5度ずつで、俯仰角は−2.5〜+63度となっている。
車内に122mm榴弾砲をそのまま搭載したことを考えると、意外なほど砲の射界は大きい。
また自衛用として、旧ソ連の7.62mm機関銃RP-46をコピー生産した67式7.62mm機関銃を装備している。
車内には122mm砲弾40発と7.62mm機関銃弾1,000発を収容しており、通信距離16,000mのA-220A無線機と手動式の消火器2本が標準装備となっている。

本車は当初、主砲の型式を採って「54-1式122mm自走榴弾砲」と呼ばれていたが、後期生産車は制式化された年号を採って「70-1式122mm自走榴弾砲」と名称が改められた。
本車の生産はすでに終了しており生産数などは不明だが、少なくとも数百両は生産されたものと思われる。
本車は中国人民解放軍のみに配備されており、海外への輸出は行われていない。


<54-1式122mm自走榴弾砲>

全長:    5.654m
全幅:    3.06m
全高:    2.729m
全備重量: 15.4t
乗員:    7名
エンジン:  6150L 4ストローク直列6気筒液冷ディーゼル
最大出力: 260hp/2,000rpm
最大速度: 56km/h
航続距離: 500km
武装:    54-1式22.7口径122mm榴弾砲×1 (40発)
        67式7.62mm機関銃×1 (1,000発)
装甲厚:   最大12mm


<参考文献>

・「世界の軍用車輌(2) 装軌式自走砲:1946〜2000」  デルタ出版
・「戦車名鑑 1946〜2002 現用編」  コーエー
・「世界のAFV 2018〜2019」  アルゴノート社


HOME研究室(第2次世界大戦後〜現代編)自走砲自走砲(中国)>54-1式/70-1式122mm自走榴弾砲