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Mle.F3 155mm自走榴弾砲





Mle.F3 155mm自走榴弾砲は、Mle.61 105mm自走榴弾砲と同じくAMX-13軽戦車の車台を用いて開発された自走砲だが、より強力な155mm榴弾砲を装備していたのが特徴となっている。
開発はMle.61自走榴弾砲にやや遅れて1950年代初めに開始され、主砲はATS社(Atelier de Construction de Tarbes:タルブ工廠)、車体はARE社(Atelier de Construction Roanne:ロアンヌ工廠)がそれぞれ担当し、これを統括する形で試験などを兵器研究開発局が行った。

このようにMle.F3自走榴弾砲の開発は国営企業の手で行われたが、実際の生産は民間のMCL社(Mécanique Creusot-Loire:クルーゾ・ロワール工業)の手で行われている。
車台はAMX-13軽戦車のものを用いたといっても機関系や足周りのコンポーネントを流用していただけに過ぎず、外観や構造は戦車型から大きく変更されていた。

車体前部左側が操縦室、前部右側が機関室となっている点は戦車型と同様であったが、車体後部に155mm榴弾砲を積むために機関室と操縦室の隔壁後方はオープントップ式の戦闘室とされ、戦闘室の最後部に155mm榴弾砲を剥き出しの状態で限定旋回式に搭載していた。
また操縦室の直後には車長席が独立して設けられ、上面には左右開き式の専用ハッチを備えていた。

Mle.F3自走榴弾砲が射撃を行う際には操縦手を含めて10名の操砲要員が必要だったが、車内には操縦手と車長の2名しか搭乗できず、残る8名の操砲要員は25発の弾薬を運搬する6×6トラック、またはAMX-VCI歩兵戦闘車に搭乗して行動を共にした。
このため、自走砲といっても実態は砲運搬車と呼ぶべきものであった。

車体後部には折り畳み式の駐鋤が設けられており、射撃時にはこれを地面に下ろして砲架を固定するようになっていた。
このため発砲の衝撃はあまり車体に伝わらず、これが軽量なAMX-13軽戦車の車台に155mm榴弾砲を搭載できた理由である。

Mle.F3自走榴弾砲は車体後部に駐鋤を装備した関係で戦車型にあった最後部の誘導輪が廃止され、代わりに第5転輪が接地型誘導輪の役目を果たしていた。
エンジンはAMX-13軽戦車と同じくSOFAM社製の8Gxb V型8気筒液冷ガソリン・エンジン(出力250hp)を搭載していたが、アメリカのデトロイト・ディーゼル社製の6V-53T V型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力275hp)に換装することも可能であった。

主砲の33口径155mm榴弾砲Mle.F3はATS社が開発したもので、重量バランスの関係で右側に8度振った状態で搭載されており、この変則的な搭載位置のために仰角が0~+50度の場合旋回角は右に30度、左に20度50分とされ、仰角が+50度を越えると右に30度、左に16度という非対称となっていた。
また俯角は取ることができず、仰角は+67度が最大とされていた。

この砲は国産の155mm砲弾だけでなく、NATO標準の全ての155mm砲弾を発射することができた。
通常榴弾を用いた場合の最大射程は20,047m、ベースブリード榴弾を用いると23,800mまで射程を延伸でき、開発時期を考えると充分な性能を有していた。
発射速度は1発/分と遅かったが、短時間なら3発/分で射撃することも可能であった。

Mle.F3自走榴弾砲は小柄な車体に巨大な155mm榴弾砲を無理やり搭載したため、弾薬や操砲要員を別の車両で輸送しなければならない等の問題点はあったものの、低価格で155mm榴弾砲を自走化できたという意義は大きく、このためフランス陸軍に33両が採用された他、アルゼンチン、エクアドル、スーダンなど11カ国への輸出に成功しており総数293両が生産された。


<Mle.F3 155mm自走榴弾砲 ガソリン・エンジン搭載型>

全長:    6.22m
全幅:    2.51m
全高:    2.06m
全備重量: 17.4t
乗員:    2名
エンジン:  SOFAM 8Gxb 4ストロークV型8気筒液冷ガソリン
最大出力: 250hp/3,200rpm
最大速度: 60km/h
航続距離: 300km
武装:    33口径155mm榴弾砲Mle.F3×1
装甲厚:   10~20mm


<Mle.F3 155mm自走榴弾砲 ディーゼル・エンジン搭載型>

全長:    6.22m
全幅:    2.51m
全高:    2.06m
全備重量: 17.4t
乗員:    2名
エンジン:  デトロイト・ディーゼル6V-53T 2ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 275hp/2,800rpm
最大速度: 64km/h
航続距離: 450km
武装:    33口径155mm榴弾砲Mle.F3×1
装甲厚:   10~20mm


<参考文献>

・「パンツァー2016年6月号 フランス軍AFVシリーズとして広く使われたAMX-13軽戦車とそのファミリー」 城島健
 二 著  アルゴノート社
・「パンツァー2014年4月号 1960~80年代に活躍したフランス製自走砲」 鈴木多郎 著  アルゴノート社
・「パンツァー2013年5月号 フランス陸軍の現用戦闘車輌」  アルゴノート社
・「世界のAFV 2021~2022」  アルゴノート社
・「グランドパワー2019年11月号 フランス戦車発達史(戦後編)」 齋木伸生 著  ガリレオ出版
・「世界の軍用車輌(2) 装軌式自走砲:1946~2000」  デルタ出版
・「異形戦車ものしり大百科 ビジュアル戦車発達史」 齋木伸生 著  光人社
・「戦車パーフェクトBOOK」  コスミック出版


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