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05式水陸両用戦闘車





●開発

中国は以前から台湾への上陸侵攻を想定しており、そのために高性能な水陸両用AFVを必要としていた。
また、アメリカが高性能な新型水陸両用AFVである「EFV」(Expeditionary Fighting Vehicle:遠征戦闘車)の開発を進めていたことから、太平洋の覇権を賭けてこのEFVに対抗するためにも新型水陸両用AFVの開発は急務であった。

折しも中国は1997年にロシアとの軍事協力プロジェクトに署名し、ロシア軍の主力IFVであるBMP-3歩兵戦闘車の技術供与を受けることに成功した。
中国軍はBMP-3の技術をベースに新型国産IFV(後の04式歩兵戦闘車)の開発を進め、1999年頃に形になった。
この04式歩兵戦闘車が形になったことで、新型水陸両用AFVの開発は一気に加速することになる。

中国軍は高い水上航行能力を持つ新型の共通車体を用いて、105mm戦車砲を装備する水陸両用の突撃砲と水陸両用のIFVを並行して開発することを計画し、04式歩兵戦闘車のコンポーネントを随所に流用することで開発期間の大幅な短縮を図った。
こうして誕生したのが05式水陸両用突撃砲と、05式水陸両用戦闘車である。

05式水陸両用戦闘車の開発は湖南江麓機械集団の手で2000年から開始され、当初は「ZBD-2000」の呼称が与えられていた。
2005年には開発が完了し、「05式両棲歩兵戦車」(ZBD-05)として制式化された。
05式水陸両用戦闘車は現在中国海軍陸戦隊に152両、陸軍水陸両用機械化部隊に300両以上が配備されている他、「VN-18」の名称でベネズエラ海兵隊に10両が輸出されたという。


●構造

05式水陸両用戦闘車の車体構造は、アメリカが現在開発を続けているEFV水陸両用兵員輸送車によく似ており、本車の開発の際に参考にしたことが窺える。
浮航性を確保するために車体前部は大きく舟型にオーバーハングしたデザインにされており、水上航行時には車体前部に設置されたボウ・フラップと車体後部に設置されたトランサム・フラップを展開させ、造波抵抗を軽減させて高速航行を可能にしている。

水上での推進力は車体後部に2基設けられたウォーター・ジェットにより得ており、この点もEFVと同様であるが、EFVが2,700hpの高出力ディーゼル・エンジンを搭載して水上を25ノット(46.3km/h)の速度で航行できるのに対し、05式水陸両用戦闘車はそれほど高出力のエンジンを搭載していないため、水上航行速度は20〜30km/h程度といわれている。

本車に搭載されているエンジンは、中国軍の最新鋭MBTである99G式戦車に搭載されているWR703/150HB V型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(出力1,500hp)をベースにしており、陸上走行時には591hp、水上航行時には1,577hpの出力を発揮するように設定されている。
変速機はCH400流体トルク変換機付き自動変速機が採用されており、陸上走行も水上航行もパワーステアリング式のハンドルにより操縦を行う。

05式水陸両用戦闘車の車体は当初、開発ベースとなった04式歩兵戦闘車と同じく防弾鋼板の溶接構造とされる予定だったが、本車は浮航性を確保するために軽量化を図る必要性があったため、中国軍のAFVとしては珍しく防弾アルミ板の溶接構造となっている。
車体の装甲防御力については不明であるが、全周に渡って7.62mm弾の直撃や至近距離で炸裂した榴弾の破片に耐える程度と思われる。

なお、車体前部のオーバーハング部は空間装甲の役割も果たしており、対戦車ミサイルやHEAT弾などの成形炸薬弾頭に対する防御力を大きく向上させている。
車内レイアウトは車体前部右側が機関室、前部左側が操縦室、車体中央部が全周旋回式砲塔を搭載した戦闘室、車体後部が9名の完全武装歩兵を収容する兵員室となっている。

05式水陸両用戦闘車の砲塔は大型の2名用のもので、04式歩兵戦闘車の砲塔が防弾アルミ製であるのに対し、防御力を向上させるために防弾鋼板の溶接構造となっている。
武装は旧ソ連製の80.5口径30mm機関砲2A72と、86式7.62mm機関銃(旧ソ連製の7.62mm機関銃PKTのコピー生産型)を砲塔前面に同軸装備している他、旧ソ連製の9M14「マリュートカ」(赤ん坊)対戦車ミサイルの国産改良型である「紅箭73D」対戦車ミサイルの発射レールを砲塔の左右に装備している。

砲塔の周囲にはセラミック付加装甲が装着されており、砲塔の装甲防御力は前面で射距離100mから発射された12.7mm徹甲弾に抗堪するとされている。
30mm機関砲2A72は徹甲弾を使用した場合砲口初速1,000m/秒、発射速度300発/分で、最大射程は地上目標で4,000m、空中目標で2,500mとなっている。

「紅箭73D」対戦車ミサイルは、旧ソ連製の9M14「マリュートカ」対戦車ミサイルの誘導方式を手動式指令照準線方式から半自動式指令照準線方式に改めた上、ERA(爆発反応装甲)への対策として弾頭部を二重弾頭に変更したものである。
このミサイルは射距離に関わらず、厚さ800mmのRHA(均質圧延装甲板)を穿孔する能力があるという。


<05式水陸両用戦闘車>

全長:    9.50m
全幅:    3.364m
全高:    3.00m
全備重量: 26.0t
乗員:    3名
兵員:    9名
エンジン:  WR703/150HB 4ストロークV型12気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 591hp(浮航 1,577hp)
最大速度: 65km/h(浮航 20〜30km/h)
航続距離: 500km
武装:    80.5口径30mm機関砲2A72×1
        86式7.62mm機関銃×1
        「紅箭73D」対戦車ミサイル発射機×2
装甲厚:  


<参考文献>

・「パンツァー2010年5月号 建国60周年記念軍事パレードに見る中国軍用車輌カタログ」  アルゴノート社
・「パンツァー2019年5月号 能勢伸之のツキイチ安全保障(3)」 能勢伸之 著  アルゴノート社
・「パンツァー2014年6月号 各国の海兵隊(9) 中国陸戦隊」 荒木雅也 著  アルゴノート社
・「パンツァー2010年7月号 中国陸軍 04式戦闘兵車」 前河原雄太 著  アルゴノート社
・「パンツァー2018年5月号 中国の2つの水陸両用戦闘車輌」  アルゴノート社
・「パンツァー2019年8月号 05式水陸両用歩兵戦闘車」  アルゴノート社
・「世界のAFV 2018〜2019」  アルゴノート社
・「10式戦車と次世代大型戦闘車」  ジャパン・ミリタリー・レビュー


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